「リエゾン こどものこころ診療所」が面白い

金曜ナイトドラマリエゾン こどものこころ診療所」

今クール、テレ朝(EX)系で毎週金曜23時台に放映されているドラマ「リエゾン こどものこころ診療所」。

児童精神科のクリニックを舞台に、山崎育三郎演じるクリニックの児童精神科医、そして松本穂香演じるクリニックに転がり込んだ研修医とを中心に、発達障害など様々な生きづらさを抱える子どもとその家族に向き合い、寄り添う姿を描いたものです。

行政やそれを支える側から見ても見ごたえのある作品と感じました。

ドラマで描かれる子どもの特性、子どもを持つ親の悩み、家庭内のやりとり、いずれもリアリティのある描写が多い印象を受けます。

普通ってなんだろう?

第3話、山崎育三郎演じる先生がふと、つぶやいたセリフが、「普通ってなんだろう」。

普通」という言葉が、あたかも呪縛となり、子どもたちや親にしんどさをもたらすのではないのか。

第3話で終始描かれたのは、そのようなものでした。

多治見市の委員を務めて感じること

現在、多治見市の子どもの権利擁護委員として、日頃、子どもたちやその親の悩みを聞く相談員に助言をしたり、学校等に赴いて事情を聴き、調整を図ったりしています。

親の悩みの多くは、学校で起きたことを中心に、発達障害を持つお子さんの子育て、いじめ、不登校に関するもの。

子の悩みと言えば、友達づきあい、いじめ、児童虐待、勉強、性自認についての悩み。

親子の悩みに共通するのは、「普通」に縛られ、「普通」がしんどく、「普通」のせいで生きづらいというものです。

しんどさから相談につながるには

今は、昔にはなかった制度が存在します。

いじめ対策組織、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学校以外の子ども向けの相談窓口といったものがいくつか存在します。

岐阜県弁護士会には子ども向けの法律相談もあります(私も持ち回りで担当しています)。

とはいえ、相談せず自分で解決するほうがたくましく育つ、たくましくなければ社会で生きていけない、という考え方が、学校現場はもちろん、社会の中で根強く残っています。

私自身もそうやって対処してきましたし、昭和生まれの相当数がそのように対処してきたでしょう。

しかしながら、そのような考え方・態度は、子どもたちから、学校や大人は信用できない、自分でやった方がまだマシと思われていることの裏返しに過ぎません。

大人でも、心が苦しければ心療内科や精神科の門をくぐり、法的な問題は弁護士にというように、専門家に相談して、解決を図る。その方が事態を悪化させることなく、うまく行くことが多いので、本来であれば、しんどいときは誰かに頼ったり、任せたりするのが望ましいと言わざるを得ません。

相談しやすい環境という課題とその一例がリエゾンの先生

問題は、相談しやすい環境をどう整えるか。これが課題となります。

リエゾンの山崎育三郎演じる児童精神科医の、まずは見守る、耳を傾けるという姿勢、包容力がある暖かい感じが相談しやすい環境の一例でしょう。

弁護士に相談したら怒られるのではないのか。説教されるのではないか。そうした不安から相談をためらう人もいるかもしれません。

オレ様はお医者様、といった態度は論外です。

他方、頼りないと感じさせるのもよくない。

相談しやすい環境をつくる工夫は、行政の相談体制を構築する上でも、弁護士業務においても、課題となります。

そんなわけで私自身様々なことを感じながら、毎週金曜夜に視聴しています。