本日紹介する本:高田明『伝えることから始めよう』
「目標を設定しない」「自己更新を続ける」「他社と比較しない」。
一見、たまたま単なる行き当たりばったりがうまくいっただけで、いわゆる生存バイアスにかかった状態での見解にも思えるかもしれませんが、ジャパネットたかたは、その3つを基本的な考え方として成長を成し遂げています。
そのことは、高田明『伝えることから始めよう』に詳しく述べられています。
2022年12月 高田明氏が多治見で講演をしました
昨年、2022年(令和4年)12月13日、多治見市内のとうしんエール学びの丘にて、ジャパネットたかたの創業者、高田明氏の講演会が開かれました。
東信経営者倶楽部が、東濃信用金庫創業100周年を記念して氏を招いたもので、本来なら9月に行われる予定でしたが、台風の影響で12月に延期されていました。
人生はボトルネックを探す旅、今を一生懸命に生きる。
テレビショッピングさながらの軽妙な語り口で、自身の半生と人生哲学を語っていました。
氏が独立したのは、奇しくも私が独立開業したのと同じ歳。そこから、高田氏は、41歳でラジオショッピングに出会い、必死に今を生き、会社を大きくしていきます。
氏の半生は、日本経済新聞の「私の履歴書」にも連載されていました。2018年(平成30年)4月のことです。
今を一生懸命に生きて、スモールステップを積み重ねる
講演会を機に、氏の著作をいくつか購入しましたが、そのうちの一冊が『伝えることから始めよう』となります。
内容は、講演会や「私の履歴書」重なり合う部分が多いですが、学ぶところは多いでしょう。
伝わらなければ意味がない。
そして、今を一生懸命に生きる。
売れなかった理由ではなく売れる理由を探す。
高田氏は、長崎県に戻ってから、これまでの経験を生かしながら、毎日、今を一生懸命に生き、伝え方を工夫し、売れる理由を探したりするなど、必死で工夫を重ね、不可能だと言われたことを実行し、長崎県北部にある小さなカメラ店を、長崎県、そして日本を代表する通販会社に成長させていきました。
ジャパネットたかたの経営を振り返ってみると、「長期的なビジョンを持たない積上げ経営」だったと思います。(P.231)
軸足を置いていたのは、とにかく「今」です。今できることに最善を尽くす。そこから、次のステップが見えてくる。最善を尽くす中で次のステップが見えてきたら、スモールステップで次に進む。その繰り返しで成長を続けてきました。(P.231-232)
今を一生懸命に生きて、見えてきた課題を一つずつ克服し、すべてスモールステップを積み上げてきただけでした。(P.232)
「目標を設定しない」「自己更新を続ける」「他社と比較しない」は、ジャパネットたかたを経営していく上での基本的な考え方でした。(P.239)
高田明氏は、自著でそのように語ります。
目標を設定しない理由については、この本の中に詳しく書かれてありますのでご一読ください。
1980年代から2010年代、既に右肩上がりではなくなりつつあった日本において、企業を大きく成長させていった鍵は、とにかく「今」を大事にしていたからなのだ。
高田氏の考え方は、低成長、長期停滞の時代、そしてVUCAと呼ばれる時代において、会社を大きくさせるヒントとなりそうです。