三國清三『三流シェフ』に感銘を受ける

料理を食べ、出てきた料理の素材や調理法、盛り付けに感銘を受けるように、一冊の本を読み、描写や語り口、そして、話の内容や考えに感銘を受ける。

ページをめくるごとに、ある料理人がその日その日を大切にして必死で生き抜いた生きざまを、自らの生き方と対比しながら追走し、何者にはらんとするためには何が必要かを学び取る。

三國清三三流シェフ』はそのような書籍です。

一節一節が面白く、話に没頭してしまい、最後まで一気に読み進めてしまいました。

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この本を知ったのは、12月16日に、EX(テレビ朝日)系列の朝の情報番組「モーニングショー」で三國清三氏のインタビューを見てのこと。

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かの玉川徹氏が、「オテル・ドゥ・ミクニ」を訪ねて三國氏にインタビューするもので、本の内容の一部や、生い立ち、札幌、東京、そしてスイスで鍋磨きからどのように爪痕を残すまでになったのかが三國氏の口から語られました。

視聴後、直ちにこの本を注文しました。

本を読むと、人との出会い・縁、チャンスを掴み取るための過程、チャンスを掴んだ後の努力や試行錯誤、料理に対する思いが、テンポ良く書かれています。

かつて三國清三氏がアラン・シャペル氏から言われたC' est pas raffinéセ・パ・ラフィネ(洗練されていない)。そして、何年か経ち、”japoniserジャポニゼ”と褒められるその過程も面白いものです。

英語のjapanizationのように、経済で「日本化」と言えば、長期停滞から脱却できない状態など不名誉な意味であることが多いのですが、アラン・シャペル氏の三國氏への賛辞を読む限り、フレンチに日本の息吹を芽吹かせるjaponiserジャポニゼは、raffiné「洗練された」の動詞形raffinerの類義語だと感じました。